「そんなことは言うべきではない。」

それを言うことによってどんな影響が生じるのか、当然わかっている。
それを言ったにも関わらず、何が変わるべくもないのか、もちろん知っている。
それを言わずに済ませるために必要な自己制御など、たやすいことだ。
まるでそんなことなど考えてもいないかのように振る舞うことさえ、日常の一コマに過ぎない。

それを言う、ということに、私たちがどれほどの意味を込めているのか。

言わずに済ませることなど、いつだってできる。
いつだってそうしている。
本当に伝えたいことは、いつでも宙に浮いている。