生きていると必ず物語が作られる

日々経験する無限の出来事の断片を事後的に振り返って拾い集め、そこに文脈を発見(というより発明)し、私は確かに意味のある生を生きてきたのだと再確認する。
それどころか、「そのような過去の再確認をするために」、わざわざ特定の未来を選択しさえする。かくのごとく過去の意味づけは私たちにとってvitalなのだ。
未来に目を向けよ、現在の瞬間を大切にせよ、との言葉の真意は、実は、「過去を意味あるものにtranslateするためにこそ未来や現在を(手段として)活用しなければならない」ということなのではないだろうか。
そのような再確認行為をレンガごとく積み重ね、それを支えとすることで、私たちは生きていくことができる。
私たちは日々、つじつま合わせをしている。
私たちは日々、物語を作っている。
生きていると必ず物語が作られる。
なぜなら、物語を作ることが出来なくなってしまった人間は、とっくに死んでいるからだ。